健康・スポーツ科学専攻

スポーツ教育学分野、スポーツ科学分野、スポーツマネジメント学分野および健康科学分野に関する教育と研究を行います。本専攻では人々の「生活の質」を向上するために必要な専門性と豊かな人間性と協調性を兼ね備えた職業人や社会で指導的役割を担う人材を養成しています。
研究分野
「スポーツ教育学分野」「スポーツ科学分野」「スポーツマネジメント学分野」「健康科学分野」
主な研究内容
- スポーツ教育学分野、スポーツ科学分野、スポーツマネジメント学分野および健康科学分野の高度な専門職業人を養成
- 本研究科では、「スポーツ教育学分野」、「スポーツ科学分野」、「スポーツマネジメント学分野」および「健康科学分野」に関する教育と研究を行い、人々の「QOL」の向上を実現するために必要な高度の専門性を有し、併せて豊かな人間性と協調性を兼ね備えた地域社会に貢献できる職業人や社会において指導的役割を担う人材を養成することを目的とします。
主な開講科目内容()
- 課題研究Ⅰ
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担当 穐原 寿識、伊東 太郎、工藤 康宏、坂井 和明、田中 新治郎、田中 美吏、鳥塚之嘉、中西 匠、中村 哲士、久富 健治、松尾 善美、松本 裕史、柳沢 和雄、山添 光芳、渡邊 完児、渡邉 昌史 内容 健康・スポーツ科学に関する修士論文作成に関わる中心的な科目であり、指導教員の研究指導を受けて、課題研究の解決に向けた研究を行います。1年次に配当された課題研究Ⅰは、修士論文作成のための研鑽期と位置づけ、学生に研究課題を与え、実験計画の立案、実験の実施、データ解析、考察、プレゼンテーションなど修士論文を作成する過程を指導し、課題研究Ⅱにつなげます。
- 課題研究Ⅱ
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担当 穐原 寿識、伊東 太郎、工藤 康宏、坂井 和明、田中 新治郎、田中 美吏、鳥塚之嘉、中西 匠、中村 哲士、久富 健治、松尾 善美、松本 裕史、柳沢 和雄、山添 光芳、渡邊 完児、渡邉 昌史 内容 課題研究Ⅱでは、課題研究Ⅰで得られた課題研究の基礎的成績を検証するとともに、さらに発展させる実験・調査を展開して修士論文作成の指導を行います。
- 健康・スポーツ科学研究法
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担当 久富 健治、松本 裕史、田中 美吏 内容 大学院では専門的な知識と技術を学び、修士論文を作成することが主な目的です。修士論文の作成においては、「研究のプロセス」、つまり論文を仕上げるまでに取り組むべき課題をあらかじめ理解しておかなければなりません。次に「実験・調査データの分析・整理をする能力」が求められます。すなわち統計処理能力と伝達能力です。
さらに研究には、調査研究をはじめ実験的、質的研究など多くの「研究法」があり、それぞれの特徴を理解することで研究の幅が広がります。本授業では、「研究のプロセス」、「統計手法」および「研究法」について解説し、修士論文を作成するための基礎的知識を学ぶことを目的とします。
- 身体運動評価学実習
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担当 伊東 太郎、渡邊 完児、田中 美吏 内容 スポーツ科学および健康科学の立場から①運動および感覚機能の測定と予防医学として健康運動指導の実際②ダイナミックな運動時の身体機能測定の手法修得と評価方法の理解③心理・神経・行動指標の測定手法修得と活用方法の立案、についてそれぞれの実践を通じてスポーツや健康運動の実施現場での身体運動の実践方法と評価法などの取り組みについての理解を深めます。
- 運動生理学特論
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担当 渡邊 完児 内容 生理学的な原理をスポーツや身体運動へ応用することは、保健体育教師、各種競技コーチ、健康運動指導士、スポーツ競技者や学校における教育などにとって必要な取り組みになってきています。運動生理学特論では、神経・筋系の生理機能とトレーニング適応、呼吸・循環器系応答の仕組みと運動の効果、栄養とエネルギー代謝、身体組成に及ぼす運動の効果などについて解説し、安全で効果的なスポーツ、身体活動についての専門的知識を養います。
- 保健体育科教育学特論
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担当 田中 新治郎 内容 保健体育科は心身の成長・発達と身体能力(技能と体力)の形成とともに、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質を形成する役割を担っています。保健体育科教育学特論では、保健体育科教員が身に付けておかねばならない教職的基礎や教科内容的な基礎を身に付けます。
- スポーツ教育学特論
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担当 中西 匠 内容 スポーツのもつ教育的価値に着目し、その教育可能性に基づいてスポーツの主体者形成のありようについて検討します。「スポーツ教育」の概念は、体育授業のみならず、運動部活動やスポーツ大会を含めた課外スポーツ、さらには学校外で行われる競技スポーツや地域スポーツをその内容として包含する文化としてのスポーツを継承・発展させることと、自らのスポーツ観を確立することを統一的に達成するための実践課題を、具体的な事例や受講生の経験などを交流しながら検討します。
- 健康行動科学特論
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担当 松本 裕史 内容 近年、ヒトの健康に関わる行為を「行動」と見なし、その行動を変容させたり、維持させるための健康行動変容が注目されています。本講義では、スポーツ・運動・身体活動およびストレス・マネジメントなどの健康行動の採択、継続、および逆戻り予防に関する研究を中心に講義を行います。
- レジャー・レクリエーション学特論
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担当 中村 哲士 内容 レジャー、レクリエーション、スポーツ、遊びの関係を構造的に理解し、現代社会において要請度の高いフィジカル・レクリエーションがどのような課題を担っているのかを具体的な事例を踏まえて探究します。特に「上手く遊べない」「体を動かすことに積極的になれない」「運動が継続できない」等の人達に対するプログラムの提供、指導法、さらにはその人達を取り巻く指導者の資質や養成の在り方についても理解を深めます。院生の問題意識に対応する講義を行い、それを踏まえて対話と討議を行いつつ、課題に有益と思われる文献や資料を随時紹介しながら論議を深めていきます。領域は、狭義のレジャー・レクリエーションにとどまることなく、スポーツ社会学、生涯スポーツ、野外活動、自然体験活動等の関連分野も含まれます。
- 運動制御学特論
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担当 伊東 太郎 内容 ヒトは二足直立姿勢という平衡的に不安定な状況下で、ダイナミックな基本運動(歩、走、投、跳、打など)の遂行が可能ですが、その成立には主動筋だけでなく運動遂行中の重心動揺を抑える姿勢筋の活動を支える、神経制御システムについても考慮しなければなりません。このような複雑な随意運動の制御機構について専門的知識を学修し理解することは、スポーツ健康科学や理学療法学を専攻している学生にとってきわめて重要であるといえます。本特論では、ヒトの神経系・運動器・感覚器のそれぞれの構造と機能、およびそれらの相互関係の理解に立脚して、随意運動の制御機構を科学的に講述することを目的とします。また、加齢あるいは疲労に伴う神経-感覚-筋機能の低下の機序を精査し、生活環境面からの老化遅延策あるいは疲労回避策について、互いにディスカッションし合う院生参加型授業も積極的に取り入れていきます。
- スポーツ心理学特論
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担当 田中 美吏 内容 スポーツ選手の競技力向上や試合における実力発揮に対する心理的な問題や課題に対し、運動の制御と学習およびメンタルトレーニング分野の学術的知見をベースに理解を深めます。また、スポーツのみならず、日常生活におけるエクササイズ、リハビリテーション、音楽、仕事において必要とされるスキルなど、身体動作を伴う様々な状況における心と体の関係の話題も含まれます。
- スポーツコーチング特論
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担当 坂井 和明 内容 スポーツのコーチングを適切に推進するための目標・課題の設定法を学び、問題解決手段や計画立案法および効果的なコーチング実践法を理解し、目標に対して成果を獲得するための知識を身に付けます。本特論では、指導教員と受講生による双方向のディスカッションを通して、コーチングに要求されるコーチングの原点、コーチングプロセス、コーチングの計画立案法、効果的なコーチング実践法に関する専門的知識および理論の理解を深めます。
- スポーツ文化学特論
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担当 渡邉 昌史 内容 スポーツは技術文化、精神文化、社会文化の諸要素が、複合的かつそれぞれ有機的に関わりながら構成されている「スポーツ文化複合」としてとらえることができます。古今東西にみるスポーツの違いは、とりもなおさず文化(約束事)の差と言えます。
本特論では、スポーツおよび身体を「文化」の問題として取り扱います。具体的には、最広義に定義されるスポーツ(語源的意味にまでさかのぼり、気晴らし・遊び、舞踊・ダンスを含む)および、身体文化に関わる諸問題を人文科学的・社会科学的方法論(文化人類学、歴史学、哲学、社会学)によって考察します。これによって、受講生各自において、これまで気づかなかった問題点を見いだし、時には従来の常識に反省を迫るような知見を得ることを目的とします。テーマとしてはメディア、ジェンダー、学校教育、観光、民族スポーツ・伝統スポーツ、エクストリームスポーツ、身体技法、養生法、身体教育などを幅広く取り上げます。
- スポーツマーケティング特論
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担当 穐原 寿識 内容 スポーツマーケティング特論では、マーケティング、マーケティングリサーチの理論研究、そして実学としてのスポーツビジネスにおいての使用法や考察アプローチを学びます。そこには深い顧客理解と市場形成のダイナミズムが存在し、その重要性を様々なケーススタディから学び、考察を深めていきます。
- スポーツビジネス特論
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担当 久富 健治 内容 本特論では、スポーツが持つ多様な「本質」がどのように語られビジネスと結びついているかを考察します。またビジネスにおける営利性は無制限に追求されるべきではなく、社会性による規制を受けると思われるので、スポーツ組織のガバナンスの妥当性や社会的責任についてもビジネスの問題として考察します。
- スポーツマネジメント特論
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担当 柳沢 和雄 内容 スポーツマネジメントは、経済的利潤だけを追求する営みではありません。文化としてのスポーツに内包される多様な価値の普及を通して、人々の生活の豊かさの実現を目指した組織的営みです。スポーツマネジメントの意義・目的や社会的責任、構造的な理解、合理的なスポーツ事業論や組織経営論についての基礎的理解を深めます。さらに基礎的理論を背景に、公共的領域から民間ビジネス領域までの多様な領域の特性とマネジメント課題を考察します。
- スポーツイベント特論
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担当 工藤 康宏 内容 国内外の様々なスポーツイベントについて、企画・運営、社会経済的影響、地域社会との関わり、メディアとの関わり、スポンサーやステークホルダーなどについて、スポーツマネジメントやスポーツ社会学の視点から分析していきます。オリンピックやW杯などのメガスポーツイベントから地域で開催される生涯スポーツイベントまで幅広く取り上げ、スポーツイベント参加者(観戦者)、消費者行動、スポーツツーリズムといった側面から理解を深めていきます。
- 運動機能障害学特論
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担当 松尾 善美 内容 運動機能障害に関して、基礎的事項からup-to-dateな最近の進歩までを理解し、その評価と介入について探求します。それらを基盤にして、基礎的研究から臨床的応用へと幅広い研究に対応できるような知識を得ることを目標とします。特に、パーキンソン病などの中枢性運動機能障害および心血管系疾患や呼吸器疾患を含む内部障害による運動機能の喪失について詳細な講義を行い、運動機能障害に対する理解を深めます。
- 分子機能回復学特論
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担当 山添 光芳 内容 スポーツと理学療法学の視点から、人体の運動機能またそれを制御している筋肉と神経機能に関する高度な研究能力を養います。特にこの科目では、細胞生物学や分子生物学のレベルから、運動機能や神経機能を理解するための基礎知識を学修します。
- スポーツ医学特論
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担当 鳥塚 之嘉 内容 本特論では、多様なスポーツ外傷・障害の最新の治療および障害予防などの取り組みについて紹介します。なかでも膝のスポーツ外傷・障害については、ケーススタディを行い、治療する側に立った視点で治療についての考え方を深めていきます。また成長期の障害予防としての高校野球における障害予防の取り組みを紹介します。
主な研究テーマ
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担当 穐原 寿識 内容 - 無形財におけるサービスマーケティングの研究
- 流行の発生と消費行動の変化に関する研究
- マーケティングミックスにおける動態的変化に関する研究
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担当 伊東 太郎 内容 - スポーツ動作の筋電図的研究(1)-運動中の疲労緩衝策を探る-
- スポーツ動作の筋電図的研究(2)-種々のスポーツ競技の様々なスキルレベルを分析しトップスキルを導く-
- コオーディネーショントレーニングの開発
- 長期アスリート育成システムの最適化
- 陸上競技跳躍選手のトレーニングプランの最適化(最重要試合調整方法UWVの検討)
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担当 坂井 和明 内容 - 球技スポーツにおける戦術を効果的に遂行するための実践知に関する研究
- 問題解決型思考の手順に沿った効果的なスポーツコーチング方法
- 球技スポーツの専門的持久力に関する研究
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担当 田中 新治郎 内容 - 教育計画としておよび、学びの履歴としての保健体育科のカリキュラムづくり研究
- 文化としてのスポーツの教育内容づくり研究
- 運動技術指導の系統性研究
- 科学的認識に根ざした健康教育、保健領域の研究
- 学びの組織化、コミュニケーション過程と集団学習の研究
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担当 田中 美吏 内容 - 心理的プレッシャー下における運動制御機能(思考、意志決定、知覚、中枢神経活動、自律神経活動、筋活動、キネマティクス、姿勢制御、パフォーマンス結果)を解明する実験研究
- スポーツにおけるイップスのアセスメント、症状、対処の研究
- アスリートに対するメンタルサポートの実践研究
- tDCS(経頭蓋直流電気刺激)による大脳皮質の興奮性調節が運動機能に及ぼす影響を調べる実験研究
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担当 中西 匠 内容 - 運動会・体育祭の教育価値-体育祭が「自治」を生み出すしくみ-
- 教科外体育の教育課題-総合的な実践の場として組織・運営能力の育成-
- スポーツの主体者形成論の今日的課題-クラブ論を中心に-
- 部活は地域で担うことができるか-当事者(子ども)の実態から-
- 陸上運動の指導方法に関する研究
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担当 渡邉 昌史 内容 - 文化としてのスポーツ理解
- スポーツにみる文化変化
- 世界各地にみる民族スポーツとアイデンティティ
- 遊びの社会化・文化化
- 武道による文化教育
- エスノサイエンス(各民族・集団で独自に認識される)の身体
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担当 中村 哲士 内容 - レジャー・レクリエーションの認識と生活化に関する研究
- 地域・職域に貢献するレクリエーション・リーダーに関する研究
- ニュースポーツの類型と効力に関する研究
- 野外教育の効果と指導者に関する研究
- レジャー・レクリエーション関連指導者養成課程に関する研究
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担当 久富 健治 内容 - イノベーションの可能態としてのスポーツ産業に関する研究
- スポーツ組織のガバナンスと社会的責任について
- スポーツ経営学の社会科学としての独自性について
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担当 松尾 善美 内容 - 心大血管疾患リハビリテーションに関する研究
- 呼吸障害の評価と治療に関する研究(嚥下機能も含む)
- 虚弱高齢者に対する運動療法・その他の治療手段の開発
- 神経難病患者に対する運動療法・その他の補完手段の開発
- メタボリックシンドローム・予備群に対する運動療法・その他の治療手段の開発
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担当 松本 裕史 内容 - 運動・身体活動の参加、継続に関する心理・行動科学的研究
- 自己決定理論を応用した健康心理学的研究
- 階段利用の促進に関する行動科学的研究
- 運動行動の動機づけに関する実証的研究
- 若年女性の身体活動に関する質的研究
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担当 山添 光芳 内容 - 特定の遺伝子を破壊したヒト培養細胞の作製
- iPS細胞を利用したヒト疾患モデル細胞の研究
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担当 渡邊 完児 内容 - 身体分節体積の計測精度に関する研究
- 簡便な身体組成評価法の開発
- 脂肪の燃焼に効果的な運動処方の開発
- スポーツ競技選手の栄養管理の実態調査
- 高齢者における四肢筋量と体力の関連
- 女性の月経と運動に関する研究
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担当 柳沢 和雄 内容 - メガスポーツイベントと地域再編に関する研究
- 総合型地域スポーツクラブと社会的ネットワーク形成に関する研究
- フィットネスクラブのマーケティングに関する研究
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担当 工藤 康宏 内容 - スポーツやスポーツツーリズムによる地域への影響
- スポーツツーリストの行先選好・参加行動
- 体育・スポーツ施設の管理運営
- スポーツイベントのマーケティング
- スポーツチームやスポーツイベントと地域活性化
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担当 鳥塚 之嘉 内容 - 女性アスリートの三主徴(利用可能エネルギー不足、月経障害、骨粗鬆症)
- 高校野球における障害予防
- 膝蓋骨トラッキングの動態解析
授業科目()
履修方法()
- 2年以上在学して、必修科目11単位、指導教員による特論・演習の3単位を含む合計30単位以上を修得し、修士論文の審査および最終試験に合格しなければならない。
- 修得すべき30単位以上には、上記1以外の特論科目(関連科目を含む)から8科目16単位以上を含まなければならない。
学位授与
修士課程に在学して、所定の単位を修得し、さらに修士論文の審査および最終試験に合格した者には、「修士(健康・スポーツ科学)」の学位を授与する。