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パリのリヨン駅からTGVに乗って、南仏プロバンスのアルルへ向かおう。地中海へ注ぐ大河、ローヌ川沿いのこの街は、ローマの闘技場や古代劇場の跡や、ゴッホが住んだことで有名な太陽あふれる街である。今回は、染織に関する展示を求めて、アルラタン博物館を訪ねてみよう。
アルルへは、パリのリヨン駅から、フランス自慢の新幹線であるTGVでリヨンを経由して行くことができる。最近は、TGVの路線も増えたが、TGVが最初に走ったのは、パリとリヨンである。アルルなどの南仏方面への列車は、リヨンには立ち寄らず、リヨン市街は迂回する専用路線を走る。2001年6月には、マルセイユまでの専用路線が開通した。
駅に行くと、時刻表がもらえるのでそれで列車を調べ、予め予約しておくとよい。TGVは全席指定席である。
TGVアトランティッック パリのモンパルナス駅から 大西洋方面に向かう | オレンジ色のTGVパリのリヨン駅から、リヨン・地中海方面に向かう。TGV開通当時の車両はオレンジ色であったが、最近の車両は、シルバーと青になってきている。 |
アルル市内を巡る
駅から市の中心地へは、少し遠いのでタクシーを利用するといいだろう。旧市街に入る所で、城門を通るが、その手前に、ゴッホが住んでいた「黄色い家」の跡地がある。
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駅から市の中心地へは、少し遠いのでタクシーを利用するといいだろう。旧市街に入る所で、城門を通るが、その手前に、ゴッホが住んでいた「黄色い家」の跡地がある。
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アルラタン博物館
フランスの詩人であるフレデリック・ミストラルのノーベル賞の賞金を資金として設立された民間の博物館で、この地方の民族衣装や民芸品などが展示されている。係員の女性が民族衣装を着ている。
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館内は撮影禁止なので、展示の様子を写真でお見せすることはできないが、特別に許可を受けて撮影した、ケルメス(赤色染料に用いられるカ貝殻虫)に関する展示の部分を下に示す。
赤くつぶれたケルメス(10)と
ケルメス樫 (11) |
ケルメス樫と
ケルメスの絵 |
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ケルメス関係の展示全体 | ||
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ケルメスについて
合成染料が用いられるようになった19世紀末までは、繊維の染色には植物や動物が利用されていた。赤の染色には、茜がよく用いられるが、ヨーロッパでは、赤をとる染料として、昆虫のケルメスも用いられていた。
ケルメスというのはえんじ虫の一種でペルシア原産。地中海沿岸に生息している。イラン語で赤を意味している。雌は、球状の覆いで覆われており、ケルメス樫という木の小枝についているが、木の実と誤認されていた。胸に吸管があり、動かずに木から養分をとることができるようになっている。この雌から押し出された卵から幼虫がふ化し、木の至る所に動く。その後2−3日で、木の皮の隙間などに固着し始める。そうして、丸い形に膨れていく。色素はケルメス酸。のち、中米からもたらされたコチニールにより駆逐され、近年ではほとんど使われていない。コチニールに比べて、色沢を欠くためだった。