ゴブラン織

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 フランスでの染織品といえば、ゴブラン織である。

 ゴブラン織Gobelinsといえば、多くの人が耳にしたことのある言葉であろうが、日本ではタピストリー全般をゴブラン織と称していたり、バッグなどの生地として使われている機械織りの絵柄がゴブラン織と思われていたり、必ずしも正しい認識を受けているとは限らない。ゴブラン織は、タピストリー(フランス語ではタピスリtapisserie)の一種で、ゴブラン一家が15世紀にパリに作った染色工場の場所に、17世紀になってからタピストリーの国立工房が作られ、それが発展したことにその名の由来がある。したがって、パリのゴブラン工房で作られたタピストリーが本来のゴブラン織である。なお、ゴブランという人物がゴブラン織を始めたというわけではなく、名前は残っているがゴブラン織自体とは何ら関係がない。フランスを観光すれば、ゴブラン織は、シャトーで壁にかかっているのによくお目にかかるし、それとはちょっと趣は違うが機械織りの品物が「ゴブラン織」と称してフランスみやげとしてよく売られている。
 パリには、ゴブラン織の工房Manufucture des Gobelinsがあるので、そこを訪ねることにしよう。ただし、ここは午後2時からしか見せてもらえないので、その前に中世の美術品や一角獣のタピスリーで有名なクリュニー美術館Musee de Clunyを訪ね、ソルボンヌ大学Sorbonneや朝市で有名なムフタール通rue Mouffetardを通ってゴブランに向かうことにしよう。


クリュニー美術館へ行く
 

国立ゴブラン織工房

 メトロの7号線のゴブラン駅Les Gobelinsを降りてイタリア広場方面(南)の改札口から地上に出ると、そこはイタリア広場から伸びているゴブラン通りAvenue des Gobelins。そこに面して国立のゴブラン工房Manufacture des Gobelinsがある。
 
 
メトロ7号線のゴブラン駅(レ・ゴブラン)
「レスゴベリンズ」とは読まない。次の駅はイタリア広場(プラスディタリ)


 メトロのゴブラン駅の改札口は2つあり、逆(北)の出口から地上に出ると、そこはアベニュー・デ・ゴブランとブールバールが交差しているゴブラン交差点である。このブールバールより内側が旧市街に相当するので、ゴブランの工房はそのすぐ外側に位置していることがわかる。ゴブラン工房はパリの郊外にあると記載している本もあるが、確かに昔はパリ市の外にあったわけである。
 
 
 

メトロの出口とゴブラン交差点
手前が交差点、右奥に工房
ゴブラン通り、遠くにパンテオン
国立ゴブラン織工房
前の道が、ゴブラン通り
左の方へ行くと、イタリア広場
 ゴブラン工房の見学は、専属のガイドの案内にしたがって、約1時間かけて行われる。ガイドツアーの出発は火・水・木の午後2時15分と2時45分である。パリへ着いたらどこかのキヨスクで「ロフィシエル・デ・スペクタクル、シルヴプレ  l'officiel des spectacles、 s'il vous plait」と言って、週刊の催し物案内を買おう。50円ほどである。この musees の項に各博物館の簡単な案内が記されている。ゴブラン工房もGの項に載っているはずなので、曜日と時刻を確認しよう。
ロフィシエル・デ・スペクタクルの記載例(2002年12月25日号)

Gobelins(Manufacture), 42 ,av. des Gobelins, 01 44 08 52 00. Visites guidees mer, jeu, mar(sf fete) a 14h et 14h45(individuelles sans reservation) et groupes (sur res. au 01 44 54 19 30). Ent.8E,  6E(-de 25 ans), gratuit pour -de 7 ans 

住所、電話番号のあとに、開館日や時間、値段が記載されている。 日本語に訳せば、ガイド付見学、水・木・火(除:祭日)、14時と14:45(予約無しの個人入場)、団体(要電話予約)、入場料は8ユーロ、25歳以下は6ユーロ、7歳以下は無料。

【略号意味】lun:月、mar:火、mer:水、jeu:木、ven:金、sam:土、dim:日、tlj:毎日、sauf:除く、fetes:祭日、res:予約

 見学の受付は建物の中なので、建物の横から中庭を経由して裏口から入ってみよう。見学をしたい人たちがもう集まっているかもしれない。切符を買って待っているとガイドが現れる。ガイドは、この工房で実際に働いている人が分担して担当しており、大変詳しく、しかも一生懸命説明してくれる。フランス語がわかれば大変興味深いものに違いない。
 ガイドツアーは、ゴブラン通に面した建物内の作品や制作途中の機械を見せてくれるところから始まる。職人が竪機で織っている様子を見ることができる。織り手はタピストリーの裏面から織っていくこと、図柄ができあがっていく表の面は鏡に写して、下絵の通りにできているかを確認していくことなどの製作過程がよくわかる。どのくらいのスピードで織られていくかを見ていると、1分間に数目しかできあがっていかない。いかに時間と根気のいる仕事であろうか。
 
   
国立ゴブラン織工房(旧館)の内部 
竪機
裏から糸を入れる
何種類もの色糸を使う
裏から織るので、表には鏡が
柄のできる表。鏡が置いてある。
人の顔が織りあがっていく

 

国立ゴブラン織工房(新館)の内部
横機
後には新作が飾られている


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