武庫川女子大学生活環境学科について

98.10.7記載。00年2月、01年5月、02年6月、06年2月、13年2月一部改訂
牛田は、武庫川女子大学・生活環境学部・生活環境学科 および 武庫川女子大学・短期大学部・生活造形学科の教育に携わっています。この2つの学科について、以下に説明します。また、テキスタイルアドバイザーの養成にも深く関わっていますので、そのことについても説明させていただきます。(文責:武庫川女子大学 生活環境学科 教授 牛田 智)

参考:武庫川女子大学生活環境学科・生活造形学科の公式ホームページ

生活環境学部・生活環境学科 
 武庫川女子大学には5つの学部(文学部・健康スポーツ科学部・生活環境学部・薬学部・音楽学部)があり、生活環境学部は、家政学部が平成6年度入学生より改組されたもので、生活環境学科・食物栄養学科・生活情報の3学科で発足しました。その後生活情報学科は情報メディア学科に名称が変更され、また、平成18年4月からは新たに建築学科が誕生しました。

 このうちの生活環境学科は、人間を中心に、それをとりまく衣服や住居や都市を「環境」と考え、それらを連続的にとらえて、総合的に学ぶ、という考え方からカリキュラムが構成されています。 「生活環境」という名詞は、「私たちの身の回り取り巻くものや状況のこと」をさしますが、本学科では、衣と住がターゲットです。

 衣と住に共通の材料である繊維製品の科学的な理解から、それらの美的・文化的理解まで、また、衣服や建築物や都市の機能やデザインなど、理系・文系の枠を越えて学びます。
 衣と住は、一見関係が薄いように思えますが、衣服や服飾品にしても、インテリアや住居や都市にしても、デザイン・材料・文化・創造・感性という観点からみると多くの共通性があります。衣や住の中にあるデザインはどのような歴史を持っており、人々はどのような感性でそれらをとらえているのか、衣や住を構成する材料にはどのような特質があり、それを活かしてどのように用いられているのか。生活環境学科では、それらを総合的・連続的に学びます。いくらデザインがよくても材料が悪いために品質のよくないものができることだってあります。品質がいくらよくても、デザインがまずければ人々に見向きもされないでしょう。
 このようなことから、生活環境学科では、デザインや文化やそれらの歴史を学ぶといった文系の分野と、材料の物理的性質や化学的性質を学ぶといった理系の分野の両方を学んで行くのです。

 生活を取り巻く衣環境や住環境について、それらを「つくる」ために必要なことを学ぶにとどまらず、いかに選び、いかに表現し、いかに使っていくかについてを身につけ、生活者の側に立ち、クリエイティブに衣や住に関わる仕事に携わることができるような人材の養成を目的としています。物質的には満たされている現代、より快適で、より高機能で、やすらぎや満足を得られるような商品が求められています。ただ作れば売れる、といったことはありません。どんな商品を人々が求めているか、ということは、生産者の立場からはなかなかわかりにくいものです。企業も若い女性の感性を活かすべき時代です。

短期大学部・生活造形学科
 生活造形学科は、武庫川女子大学短期大学部にある7つの学科の1つで、衣やインテリアのことを専門的に学びます。
 生活造形学科は、服飾系のアパレルコースインテリアコースの2つに分かれており、アパレルコースでは、衣服のデザインや制作やその背景にある文化・歴史に加え、繊維素材・色・洗濯といった繊維製品の品質に関わることを学びます。テキスタイルアドバイザー2級の資格(下記参照)もとれます。。インテリアコースは、快適な住環境づくりをめざして、それに必要なさまざまなことを学びます。
 短大生活造形学科は、大学・生活環境学科と設備や教員が共通しており、そのカリキュラムの基本的な考え方も大学生活環境学科と共通です。短大であり、2年間しかありませんので、大学生活環境学科のように「衣と住」を総合的に学ぶのではなく、「衣か住」のどちらかを学ぶことになります。
 

テキスタイルアドバイザー(衣料管理士とは) 
 生活環境学科と生活造形学科では、卒業と同時にテキスタイルアドバイザー(正式名称:衣料管理士、略記:TA)の資格がとれる「TA課程」が設けられています。
 衣料やインテリアに使われる繊維製品が、1回洗濯しただけで色落ちしてしまったり、縮んで使えなくなったりしたら困ります。また、単に品質や性能がよくても、デザインが悪かったり流行遅れであれば、商品として失格です。TAは、各種の繊維製品の品質の管理と、合理的な消費の指導を行うことのできる人に与えられる資格です。衣料品の素材の特性・染色や加工のされ方など、衣料の品質にかかわるあらゆることに精通した知識を持ち、品質を的確に判断し、流通・販売・消費ができるような素養を学びます。 
 そのカバー範囲は単に衣料だけではなく、カーテン・カーペットといったインテリアや自動車の内装などの繊維製品にまでひろがっています。
 薬剤師や栄養士は、法律に基づく資格であり、資格の名称が職業の名称にもなっていますが、TAの場合はそれらとは違い、「衣料管理士」という職業があるわけではありません。その意味からもTAの役割は限定されているわけではなく、TA養成課程で学ぶことは幅広く応用がききます。また、1回の試験で認定される検定や資格とは違って、大学在学を通して深く広く、体系的に学んで得られる資格なので、確実な実力を伴った資格ということができます。
                ***TAのtextilesとは、衣料もインテリア製品も含めた繊維製品全般を指す言葉です。***

 繊維・ファッション産業は、海外への依存度が高くなってはいますが、衣食住の一翼をになう重要な産業です。衣料品がこれからも私たちの日常生活を支える必需品であることにはかわりがなく、海外生産が増えるならなおさら、今以上に品質のよい高品位の商品を見抜く目を持つ人が、人材として要求されています。繊維製品にかかわる企画・生産から流通・販売にまで関わるすべての場所で、品質に関わる知識が必要となっているということです。

 テキスタイルアドバイザー資格を取得すると、繊維製品品質管理士(TES)資格の受験科目が一科目免除されます。

さらなる情報は、 一般社団法人 日本衣料管理協会

武庫川女子大学衣料管理士会(武庫川女子大学を卒業したTAの人たちによる組織)のページへ 
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