茜による染色の実際
 (木綿のハンカチの染色の場合)

 茜は山野に自生する多年生の草木で、その根が赤いことから「アカネ」と称される。染色物の色は、赤というよりも、黄みを帯びた赤、夕焼け空の赤い色である。2〜3世紀頃中国から渡来したとされている。万葉集にも、「茜さす」の枕詞として登場する。アカネには、日本茜、インド茜、西洋茜など、いくつかの種類がある。日本茜は、日本の山野に自生している植物であるが、根は細く、染色をするためには、相当多くの植物を採取する必要がある。自生といっても、現在はほとんど見られないので、実際に染色に使うことは困難である。西洋茜やインド茜は、根も太く、栽培も容易であり、染色材料店から入手することが可能である。
 染色は、その根を煎じ、その液を用いて染色する。なお、染色の際、アルミなどで媒染をする必要がある。絹を染める場合、まず、みょうばんなどのアルミの媒染剤の水溶液に浸して先媒染し、茜の煮出し液に漬けて染色すると、橙色がかった赤である茜色に染色できる。木綿も染色でき、ピンク系の色が染まる。
 下に木綿のハンカチを染める手順を示した。

30gの茜を水に浸して軽く洗う 洗った茜をざるで漉す 細かく切る 煮出す
ハンカチを折り、板で挟む 煮出した液に漬けて染色 みょうばんの液に漬けて媒染 媒染後さらに染色
染色、媒染、染色で染まります。板をはずせば板で押さえられていた所が白く残って、水玉模様のハンカチが出来上がり。 染色、媒染、染色のあと、さらに媒染、染色を繰り返せばより濃い色に染めることができます。

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